下町のえんぴつやさん

綴る作業をするたびに気づく、内向的なわたし。

第7話 はるになったので

 

桜が咲きました。

はるがきました。

 

 

さえこです。

 

 

1年を4つに区切って「春夏秋冬」。

2番目に好きな季節の、春。

 

好きな理由は

いのちのはじまりを目の当たりにできるから。

 

 

 

桜はもう散り始め、さんざん待たせておいて

儚く散っていくなんてずるいなあと毎年思います。

 

 

 

 

散る桜もまた美しい

だなんて

人間の心はうまい具合にできてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は、えほんのことを書きます。

 

 

 

 

 

わたしは、生まれも育ちも大阪で、

「田舎」なんてなかった。

 

ともだちが夏休みに

「いなか帰るねん。」

と言っていて、

鳥取とか鹿児島とか長野とか、

 

小学生の頃は、社会の教科書でしか触れられなかった土地に

ともだちは帰っていたわけです。

 

 

 

 

 

わたしは時々、大阪がキライになるときがあります。

 

大勢のひとがいて、

見渡す限り住宅が立ち並んでいて、

 

ひとびとは目の前を

わたしなんて存在しないかのように

交差していく。

 

 

 

別に知り合わなくたって生きていけるし、

知り合いたいというわけでもないけれど、

 

でも、どうしてこんなに冷たい気持ちになるんだろう

って不安な気持ちになります。

 

 

建物はコンクリートの塊で、

森や花みたいに

見ていて癒されるわけでもなく

 

ひとびとは、ただただ、急いでる。

 

息が詰まりそうになりながら、私も負けじと歩く。

 

 

 

 

せかせかと生きないと

置いてけぼりにされるような気がして

 

嫌々、せかせかしていました。

 

 

 

そんな中で、

 

「あさになったのでまどをあけますよ」

(あさになったのでまどをあけますよ | 偕成社)

 

を改めて読みかえしました。

 

 

荒井良二さん作のえほんです。

うちには2冊あります。笑

 

もともと持っていたところを、

姉のように慕っている人がプレゼントしてくれました。

 

 

 

 

自然にかこまれた、いわゆる「田舎」に住む男の子。

ビルやマンションが立ち並ぶ「都会」に住む女の子。

川のちかくに住む兄弟。

木の下で過ごす女性。

 

 

彼らは、

それぞれの住む町の良いところをみて

「ここがすき」

と口を揃えて言います。

 

 

 

 

都会に住む女の子は

 

まちは やっぱり にぎやかで

みんな やっぱり いそいでる

だから わたしは ここがすき

 

と言います。

 

 

 

都会なんて、都会なんて、

と思っていたけど、

 

 

にぎやかすぎて、ひとが急いでて、

それがキライやけど、これが大阪やもんな。

と考え直して

 

ここがすき・・・かもしれない

 

と思えるようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなが急ぐから急いでいたけど

べつにゆっくりだって、前に進めればいい。

 

ひとが多すぎるくらいだけど

だから出会えた時の喜びが大きい。

 

 

 

 

季節は、春です。

ここの春を感じながら生きていきたいなと

改めて感じた今日でした。

 

 

 

ところで荒井良二さんの絵は

模写ができないぐらい、壮大です。

 

わたしも、わたしも、

誰にも真似っこできない絵を描きたい。

 

 

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はる。

 

不安と期待を、

 

別れのかなしみを、

 

出会いのよろこびを、

 

一輪の花につめこんで。

 

 

春。

 

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