下町のえんぴつやさん

綴る作業をするたびに気づく、内向的なわたし。

第18話 1ヶ月後に絶対わたしに会えて良かったと思うから

 

 

1月末頃、世間がまだコロナウイルスにそんなに敏感ではなかった頃。

 


わたしがまだハナビ(今住んでるシェアハウス)に住んでなかった頃。

 


実家から職場まで、永遠に人混みにもまれてた頃。

 

 

 

 

 

 

12月くらいから

 


朝起きたら涙が止まらない、

吐き気が止まらない、

でも仕事には行かなきゃいけない

という状態が続き、

 

 

 

 

 

 

年末年始の休みも、

実家のしきたりのおかげでバタバタと過ぎていき、

 

仕事始めにノロウイルス

 

 

 

 

 

身体が悲鳴をあげていて、同時にこころも限界を迎えていました。

 

 

 

 

 

 

 

ほんとうはそれに気づいていたけど、

だって生徒のためだし休めないし、

 


でも息抜きしないとやってらんないし

家は窮屈であんまり帰りたくないな、と、

 

 

 


全てに悲観的になってて、

1月末に「もう嫌だ」の発作がでて

仕事を2日休みました。

 

 

 

 

試験監督があったのに休んでしまった。


行こうと思うのに駅で苦しくなって泣いちゃう。

もう無理や、教師失格。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


と、大丸百貨店の横のベンチで

隠れてめそめそ泣いていたら

 

 

 

「ねえ、お姉さん、わたしここに行きたいの。


行き方教えてくれる?」

 

 

 

 

 

 

と声をかけてきた人がいた。

 

 

 

 

 

 

 


顔をあげたら綺麗な白髪のおばあちゃん。

 

 

 

 

人通りの少ないところで、わざわざ端っこで泣いてたのに、他にも若そうな人はいるのに、なんでわたしに。

 

 

 


「わたしね、ここ、

この〇〇クリニックに行きたいの。


1回行ったことあるのよ、でも忘れちゃってね。


教えて…あらっ、あなた泣いてるの?」

 

 

 

 

 

 

白内障で少し白くなった目が

離してくれなかった。

 

 

〇〇クリニックまでご案内することになって、

 

 

 

「わたしは、


旦那にいつまでも雇われとったらあかーん!

言うて、企業させたのよ。

わたしも働いてたけど家計が苦しかったの。


お母ちゃんにはかなわんわーって今でも言われるわ。

でも企業したのはわたしの旦那さん。

今は40人の従業員がいて、今も現役やのよ。」

 

 

 


「いい?

泣き虫な女にはね、

そこにつけ込んでくるわるーい男がおるの。


だからね、泣いたらあかん。

泣いたらあかんのよ女は。」

 

 

 

 

 


そういう話をしながら歩いた。

 

 

 

 


お名前も何も聞かれなかったし、

また会いましょうねって言われるかと思ったけど、

 


「わたしね、縁がある人とはまた会えると信じてるの。


泣いたらあかんよ、女はね。


1ヶ月後に

"あのおばあちゃんに会えてよかった"

と思う日がくるわ。


それまで楽しみにしててね。

またご縁があったら会えるからね。」

 

 

 

 

 

 

 


そう言って別れました。

 

 

 

 

 

 

 


ああ、今日はゆっくり寝たいのにまぶしいなあ

と思わせる夏の朝の太陽みたいな、


ピカーーーっと光るパワーがあって、

 

それでいて、

 

 


なんかここ好きやなあ、古いけど雰囲気がええわあ

と思わせる古い喫茶店にいるような、


ぽかぽかとあたたかくなる人でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がついたらあの日から1ヶ月経っていて

 


さっき

ふとそのおばあちゃんのことを思い出したので

 


ブログを書こうと思ったんです。

 

 

 

 

 

 

わたしは泣き虫です。

 


泣きたくなくても泣いてしまう。

泣かないと気が済まない。

 

 

 

 

 

 


だからあのときは

「いいやんか、泣きたいんやから泣かせてよ。」

と思ってた。

 

 

 

 

今になってあのおばあちゃんの

言葉ひとつひとつが

わたしに届き始めた。

 

 

 

 


泣いても何も始まらない。

終わらせることもできない。

ぐっと堪える力をつけなさい。

自分で道を開きなさい。

 


ってことやったんかな、と今では思う。

 

 

 

 

 

 

 

わたしはこんな感じで

「人」にずいぶん救われてきた。

 

今回みたいな

そんなことあるー!?っていうことに

何回も出会ってきた。

 

 

それはだいたい知らない人で

おばあちゃんが昔から

 

「人に道を聞かれる人になりなさい」

と言っていたとおり

 

よく道を聞かれるし

その度に感謝されて

こころからあたたかくなれる。

 

 

 

 

 

 

 

実は、

ちょうどくすぶっていた何かに

ようやく火がついて、

 

その火は申し訳なさそうにチロチロと燃えていたけど

やりたくなり始めた時だったから、

 

 


あんた、

泣く元気あったら他のことにエネルギー使いなさいよ

 


と言ってくれたんだと自分なりに解釈して

 

 

 

 

 

 

こんなふうに文を綴ったり


詩をつくったり


絵を描いたりすることに


力を注ごう。

 

 

 

 

 


そうしていつか


誰かが嫌々仕事や学校に行く前に

後押しできるような絵とことばを


玄関に置いときたくなるような絵とことばを

 

 


いずれ「あなた」になる誰かに

届けたいなと思います。

 

 

 

 

 

 


それができたら、

 

また会えると思います。

あのおばあちゃんに。

 

 

 

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4年前に模写してた「つみきのいえ」。

この作品、愛に溢れてて好きだなあ(。ᵕᴗᵕ。)