第14話 おしえるということ
こんにちは!
春眠暁を覚えず。
夏も秋も冬も覚えられず。
今日もしっかり寝坊しました、さえこです。
地域生活支援センター「あーす」にて
アートスクールのオオノ先生が担当する
講座を見学させていただきました。
「あーす」の施設自体は、
過去に鬱病だった方や
今もそれに苦しむ方が社会復帰を目指す場です。
全4回を通しての講座で、
昨年は絵本を作ったそうですが、
今年はたからばこ作りと塗り絵でした。
先生の字めっちゃ個性的。笑
箱作りの方は、
画用紙に好きなシルエットを描いて
切ったものを空き箱の上において
絵具をつけた歯ブラシをこすって描く…
という口では説明しづらい技法でやりました。笑
水がついた歯ブラシをこすると
水がはねますよね。
それにインクがついたものと思ってください。
切り取った画用紙をおいてインクを飛ばすと
そのシルエットが浮き出るのです。
画材さえあれば初心者でもやりやすい。
今日の見学を通して
普段教える立場の自分を
見直すきっかけになりました。
英語を教えるとき、
文法の基礎から理解させるようにしています。
「なんでこういう意味になるのか」
「なんでこういう語順になるのか」
できるだけ順序立てて話すようにしています。
間違えたらなぜ間違えたのかを
その子がわかるまで説明したい。
でも絵を教えるということは、
色遣いや技法を順序立てて教えることよりも、
作っている人の意図や気持ちを一番に
大切にしなくちゃいけない。
「桜は青色にしたい」
という人がいて、
「桜はピンク色だからだめだ」
という当たり前のことを押し付けるのは
絵の世界では
その人の可能性を狭めてしまうだけなんだと
気がつきました。
わたしは、小中高と
図画工作・美術の時間が苦手でした。
もともと「描く」こと自体得意じゃないし
立体を平面に描くことが難しいと感じていたし
頭の中の「これ描きたい」を
絵にすることができなかったからです。
それで、今習っているオオノ先生は
美大にも通っていなければ
誰かに絵を習ったわけでもない。
学校の美術の授業では認められなかったけど、
油絵を模写していたから「先生」は
巨匠とよばれる画家たちだと名言されています。
かっこいい。
そんな独学で学んだ先生だからこそ、
デッサンも基礎も何もできないわたしに
きまりきったことだけを教えるのではなく
「このくじらは黄色なんです」
とか
「この机はこんな形なんです」
とか
下手な絵をええやん!って褒めてくれて、
わたしの自己肯定感を高めてくれる。
「こうしたいんです」というイメージを
いろんなアドバイスで導いてくれる。
だから、最近は変なコンプレックスも
なくなってきました。
昨日わたしも描き方をおしえる側になって、
作っている人の意図を聞き出して
納得のいく作品にすることが
おしえる側には必要なんだなと思いました。
あとこの気づきを通して
ワークショップへのハードルも下がりました。
誰でも取り組めることを中心にやっていけば、
できることは無限大!
あとはファシリテーション力的なものを
もっと磨かねば…。
一緒に描いてたらこんなになってた。笑
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「祈り」
独りぼっち 夜
今夜届いた 世界の知らせに
痛いという こころ
画面の先に 泣く人
あなたのそばで 一緒に泣けたら
画面の向こうに 飢える人
今日のスープを 分けられたら
世界は変わろうともしない
ただ
あなたに贈る祈り 平和の
ひとり 想う夜
(「pray (祈り)」というテーマの詩の募集に出しました)
第13話 せんせい
あけましておめでとうございます。
(遅い)
さえこです。
まずはご報告です。
1/10(火)〜2/5(日)の期間、
代々木villageのコンテナートという紅茶屋さんで
「絵馬展」開催中です。
参加させていただいてます。
作家として初出品…!!
残念ながら東京なので、
いつもいつも応援してくださっている方に
直接お見せできません…_(:3 」∠)_
コンテナートイベントページ
http://contenart.main.jp/2016/12/28/「イラストレーター達による絵馬展2017」2017年1月10日(/
他のプロのイラストレーターさんたちに
混じっているので
ちょっとあれかもしれませんが笑笑、
ぜひ探してみてください。
さて、今日は嬉しいことがありました。
「せんせい!大学合格したよ!」
と
わざわざ言いにきてくれた生徒。
そして、気の滅入ることもありました。
「せんせい、おれ生きててもしゃーないなって思うんすよ。」
と
吐き出してくれた生徒。
わたしはこの3月で教師を辞めます。
現在働いてる通信制高校では、
「先生が嫌い」という子が多い。
でも、彼らは
わたしのことを嫌いとは言いません。
ただ「先生」が嫌い。
(中にはわたしのことを嫌いな子もいるかもしれないけど。笑)
わたしは、ずっと「いい子」でした。
宿題はちゃんとやるし、
提出物もほとんど出す。
だから
特別先生に目をつけられることもなく
日々の授業をおとなしくこなし、
それなりにクラスの子たちと楽しく過ごすような
真面目な生徒でした。
(と自分では思ってる。)
先生のことを好き
…ではなかったかもしれないけど
嫌いではなかったです。
いろんなことを教えてくれるし、
勉強は苦ではなかったし。
ただ、そういられたのは
家で話を聞いてくれる母や姉がいて
遊んでくれる友達がいて
青春を共にできる部活仲間が
いたからなんだなあ
と
最近考えたりします。
通信制高校に通う生徒たちは、
夢にむかって突き進む子もいるけど
過去に何かしらの挫折やトラウマがあって
今にも崩れそうな子もいます。
彼らにはすごく強い芯が根強くあって、
いろんなことを考えてる。
ほんとうは希望に溢れているんだけど、
家と学校、バイト先くらいの世界の中では
それを受け入れてもらえず、理解もされず、
個人としてみてくれないから
「先生嫌い、学校嫌い、この社会だるい」
になるのかなあ…なんて。
ただ机の前に座り続けるのが
しんどい子も少なからずいますが。
じゃあ先生は何もしてないのかと言うと
そういうわけじゃない。
ちゃんとひとりひとりと向き合って
本当の本当に考えていることを知りたい
と思っているはず。
(と、願いたい。)
でも、
授業の準備、成績処理、部活の顧問、会議…
そして、帰ってからのことまで
考えなくちゃいけない。
全日制高校ではひとクラス30〜40人いて、
通信制高校もどんどん生徒数が増えてます。
ひとりひとりと真髄まで向き合っていると
とてもじゃないけど時間がない。
ひときわ目立った行動をおこしたり
手に負えないような問題を抱えていなければ
時間との勝負の世界で
目に止められないんだと思います。
ただ、
みんな同じように悩んだりしているから
「先生はわたし・おれのことなんかみてくれてない」
=嫌い
になってしまうのかなあ、と。
よくよく話を聞くと
「生きててもしゃーない」というその子は
やりたいことも夢もあるけど
どうしたらいいかわからず
途方に暮れている感じでした。
ああよかった、と思いつつ、
どんな話をしても
だって・でもの繰り返しだったので
わたしから提示できる
選択肢は全て話して
「今日は帰り。」と言いました。
話聞いて欲しかったんやろなあ〜〜
この一言で嫌われるんかなあ〜〜
と思いながら
わたしはカウンセラーではないし
結局はその生徒が
決断しなくてはいけないので
自ら道筋を作っていってくれることを願って
今日はこれにてせんせいの時間を終わります。
ニュースとかみていると
教員がやらかしたことしか取り上げられなくて
印象悪いけど…笑
日常はとてもたのしいものなのです。
さ、そろそろ絵本進めねば!
第12話 きゃらくたーができるまで
こんにちは。さえこです。
あっと言う間に12月も半分が
すぎちゃいましたね。
つい2ヶ月ほど前に
「あけましておめでとー」なんて
言っていたような気が…
今日はわたしの
キャラクターのつくりかたについて
書こうと思います。
アートスクールに通い始めて
1年と8ヶ月が経ちました。
「絵」をちゃんと
習ったことのないわたしにとって
「絵」はとても難しく
ハードルが高いものでした。
アートスクールで始めて描いたのは
どいかやさんの「チリとチリリ」を
色鉛筆で模写したものでした。
↑原画
↑模写
若干の色の違いがありますが
模写は得意かもと思って
どんどん模写をしました。
模写には2つの理由があります。
1つは絵の構造を学ぶこと。
もう1つは画材を使ってみること。
↑模写
↑ 原画(2015年ボローニャ国際絵本原画展受賞者作品)
↑模写
他にもたくさん模写をしました。
色鉛筆・パステル・アクリル・アクリルガッシュ…
筆の使い方や筆以外の道具も使ったり。
模写をすればするほど
色の作り方も慣れてきて
どんどん楽しくなりました。
そして「さあ、自分の絵本を作ろう!」
となったとき。
「じゅんちゃんのらくがき」のじゅんちゃん。
画材がまったく決められませんでした。
自分がつくりたい作品はあるのに
キャラクターが定まらず、
何回も何回も文章から書き直して、
描いては推敲、直しては絵を変え、
という作業を続けました。
アクリルガッシュで描きたかったんですが、
どうしても相性が合わず。
水彩絵の具を使って描くことに。
他の生徒さんは、
キャラクターから考えるそうです。
絵をずーっとやってきた人は
描きたいものをカタチにするのが得意みたいで、
わたしは文章から書くのと
イメージする世界をカタチにすることが
まだまだ苦手で。
逆にキャラクターから考える人は
文章を書くのに時間がかかると
言ってました。
水彩に合うような男の子に、
ということを意識して。
そしてできたのが
このじゅんちゃん。
この絵本は無事完成し、
いまはコンペの結果待ちです。
入賞できますように!
ほんとは、
林明子さんのような
細やかで暖かい絵を
「描きたい」と思っていました。
「こんとあき」表紙
でも、わたしが「描ける」のは
全然違う絵でした。
この約1年半を通して、
描きたいものと描けるものの差に
たくさん戸惑いました。
もっと「上手く」なりたい!と
必死だったんだけど。
でも、
絵を描くことは好きになりました。
なんなら
20年弾き続けているピアノよりも
自信を持ってるかも。
「わたしはこんな絵が描けるんだ!」
と思ってから
絵を描くのが楽しくて楽しくて。
誰にも描けないような
絵を描こうと思えるようになりました。
今度は「文章」についても書きます。
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つぎはくじらの絵本。